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CO2(二酸化炭素)回収装置

二酸化炭素回収貯留(CCS:Carbon Capture and Storage)とは

石油や天然ガス、石炭といった化石燃料をエネルギーとして使用すれば、温室効果ガスの筆頭であるCO2(二酸化炭素)の発生は免れません。したがって、化石燃料を効率的に用いてCO2の発生量を抑制する一方、発生するCO2を大気中に放出しないことが地球温暖化対策には重要になってきます。
CCS技術はそうした発想から生まれました。発電所や工場など大規模なCO2排出源でCO2を回収し、大気に触れない地中などに貯留する技術です。CCSには、燃焼排ガスから回収するポストコンバッション方式と燃焼前の燃料から回収するプレコンバッション方式があります。

貯留場所は帯水層(水または塩水で満たされた砂岩などの地層)や枯渇した石油•天然ガス層、廃炭田層、メタン層などの地中のほか、海洋への希釈溶解、深海底の窪地などが検討されています。
また、回収したCO2を活用するという観点から、油田や天然ガス田に圧入することでCO2の貯留と石油•天然ガスの採掘促進を図る方法(※)や、化学品の原料に利用するといった方法も研究され、尿素やメタノールではすでに実施されています。三菱重工はこれら化学品製造用のCO2回収装置で圧倒的なシェアを有し、世界各国へ納入しています。

(※)石油(原油)増進回収(EOR:Enhanced Oil Recovery)
天然ガス増進回収(EGR:Enhanced Gas Recovery)

図:CO2地中貯留

(出典)Carbon dioxide Capture and Storage, IPCC Special Report 2005.09

温暖化防止に重要な役割を担うCO2回収装置

化石燃料を使用し続ける限り、CCSの導入•普及なしにはCO2の排出削減は難しいといわれています。特に火力発電所で発生するCO2の回収にはCCSが有効です。

2005年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)CO2回収特別報告書によると、世界中で年間10万トン以上のCO2を排出する大規模固定CO2排出源を対象にした集計では、石炭火力発電所だけで全産業の排出量の約6割を占めています。

写真:CO2回収プラント外観

石炭火力発電には排出源1カ所あたりの平均排出量が、他の火力発電に比べて多いという特徴があります。加えて、燃料である石炭の埋蔵量が豊富で、石油•天然ガスと比べて安価でもあるため、今後も発展途上国を中心に石炭火力発電が増加すると予想されています。石炭火力発電所でのCO2回収装置導入に世界中が期待を寄せるのは、こうした理由によるものです。

国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)も2050年までのエネルギー技術の展望として「最も重要な手段は、実質的な発電の脱炭素化である。これは再生可能エネルギー、原子力発電、そして化石燃料発電所におけるCCSの設置の組合せで達成され得る」とし、電力供給と地球温暖化防止を両立させる中核技術3本柱のひとつに火力発電所でのCO2回収•貯留を挙げ、その技術革新の必要性を強調しています。

世界の産業別•燃料別CO2排出量
発生部門 排出量 全CO2排出に占める割合 排出源当たりの平均排出量
化石燃料及び無機物からのCO2 排出
発電部門
石炭火力 7,984MtCO2 59.69% 3.94MtCO2 排出源
天然ガス火力
(ガスタービン)
759MtCO2 5.68% 0.77MtCO2 排出源
天然ガス火力
(ボイラ)
752MtCO2 5.62% 1.01MtCO2 排出源
石油火力
(ボイラ)
654MtCO2 4.89% 1.27MtCO2 排出源
石油火力
(ガスタービン)
326MtCO2 2.43% 0.55MtCO2 排出源
その他の火力 61MtCO2 0.45% 0.77MtCO2 排出源
水素 3MtCO2 0.02% 1.27MtCO2 排出源

回収エネルギーの削減を実現した三菱重工のCO2回収装置

三菱重工は1999年にCO2回収装置の商用初号機をマレーシアに納入して以降、日本、インドと実績を重ね、現在、7基が順調に稼動しています。2010年中には、パキスタンとベトナムで同じく2基が試運転を開始する予定です。
計9基はいずれも化学プラントで発生する天然ガス燃焼排ガスからCO2を回収するポストコンバッション方式を採用し、回収した純度99.9%のCO2はそのまま尿素製造などの原料に利用されています。また、インドに納めた3基は排ガスからCO2を回収する装置として世界最大級の能力を有しています。

三菱重工のCO2回収装置の最も大きな特徴は、省エネのCO2吸収液「KS-1™」(注)にあります。「KS-1™」は従来の吸収液よりも少ない量でCO2を取り込み、取り込んだCO2を分離して液を再生する際のエネルギーも少なくてすみます。

このような天然ガス焚き化学プラントに加え、三菱重工では石炭火力発電所の排ガスを対象としたCO2回収装置の商用化を目指して研究開発を行ってきました。石炭焚きの排ガスには不純物が多く含まれていることや回収するCO2の量が化学プラントに比べ桁違いに膨大なことなど課題は残されていますが、実用化へ向けて着実に前進しています。その一環として、アメリカの電力会社Southern Companyと共同で石炭火力発電所に1日500トン規模の回収能力を誇るCO2回収装置を建設し、2011年から実証運転に入ります。この規模での石炭焚き排ガスからのCO2回収貯留実証試験は世界初で、将来的には1日3,000トン規模の回収が可能な商用機対応技術を確立するのが狙いです。

(注)関西電力との共同開発

世界初の商業規模の石炭ガス化複合発電設備(IGCC)+CCSプロジェクト

図:ZeroGenプラントイメージ

ZeroGenプラントイメージ

三菱重工は、燃焼前の燃料からCO2を回収するプレコンバッション方式のCCSでも商用機の検証に入ります。具体的には、オーストラリアのZeroGen社が進めるCCS機能を備えた石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)の建設プロジェクトへの参画で、三菱重工はCO2回収装置を含むIGCC設備の製作•供給•建設•試運転まで担当することで合意しています。

このプロジェクトは、同国で豊富に産出する石炭をガス化して発電し、その廃熱でさらに発電する高効率なIGCCとCO2の回収•地中(深部塩水帯水層)貯留を組み合わせたものです。いわば、次世代の石炭火力発電所の理想形です。CCS機能を持つ商業レベルのIGCC発電所建設は世界初で、2015年の運転開始を目指しており、年間200~300万トンのCO2貯留量を見込んでいます。

ここで導入されるCCS装置は、石炭のガス化と燃焼•発電との間に組み込まれます。石炭を部分酸化反応させてCO(一酸化炭素)とH2(水素)にガス化し、COにH2O(蒸気)を反応させ、CO2とH2に変換してからCO2のみを回収するという原理です。その結果、ガスタービンで燃焼•発電したあとの排ガスにはCO2がほとんど含まれません。
燃料中の炭素分を除去しCO2を発生させない燃料とし、発電効率の高いIGCCで省エネを図るというこの組み合わせは、火力発電を続けながらも地球環境を守るための、三菱重工が提供する解答のひとつです。