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ヒートポンプ

ヒートポンプとは

「ヒートポンプ」とは、大気中や水中のエネルギーを汲み上げ、そのエネルギーを有効的に使う技術の総称です。自然界にあるエネルギーを集め、熱エネルギーに転換し、冷却または加熱に用います。気体を圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がるという、一般的な原理を応用したものです。

ヒートポンプの技術は、すでにエアコンや冷蔵庫には頻繁に利用されています。エアコンの場合は、熱が温度の高いところから低いところへ伝わるという特徴を利用しながら、大気や水中の熱を取り込み、冷房•暖房のためのエネルギーに換えています。冷媒と呼ばれる物質が、圧縮•膨張を繰り返しながら、室外機と室内機、それを結ぶパイプの中を循環することで、熱を運ぶ仕組みです。

冷房の場合、(1)冷媒が室内の空気から熱をくみ上げます。(2)冷媒を圧縮して、室外の空気よりも温度を高くします。(3)室外の気温よりも冷媒の温度が高いため、室外へ熱を放出します。(4)冷媒を膨張させて室内の空気よりも温度を低くします。

現在では、家庭やオフィスビル、病院、ショッピングセンター、学校など、さまざまな場所で多種多様のヒートポンプが使われています。CO2(二酸化炭素)を冷媒に用い、空気の熱でお湯をわかす電気給湯器も、高い省エネ効果を持つヒートポンプ利用製品の代表的なものです。
一般の人が、ヒートポンプ装置そのものを目にすることはめったにありませんが、すでに商品として流通しているエアコンやヒートポンプ式の給湯システム、ヒートポンプ式の洗濯乾燥機などの製品を購入することが、すなわちヒートポンプを購入するということになります。

環境に優しく経済性の高いヒートポンプ

今あらためてヒートポンプ技術が注目されるのは、地球温暖化防止の観点からです。 ヒートポンプは化石燃料を燃焼させることなく、熱エネルギーを得るシステムですから、運転時にCO2を排出することはありません。また、消費電力は必要な熱エネルギーよりも少なくてすみます。逆にいえば、動力(電力)以上のエネルギーを生み出すことができるのです。

ヒートポンプの熱効率の性能を示す目安に、「成績係数(COP=Coefficient Of Performance )」というものがあります。例えば、消費電力1.3キロワットで加熱能力4.5キロワットを出すヒートポンプ給湯機のCOPは、4.5÷1.3で約3.5となります。つまり1の電気を約3.5倍に活かしたということなのです。現在のヒートポンプは、「1」の電気エネルギーを使って「2」~「6」の大気や水の中のエネルギーを吸収し、「3」~「7」の熱エネルギーに転換することができます。
少ないエネルギーで、より多くの熱エネルギーを取り出すことができるヒートポンプ。その利用拡大を促すことが、結果的に地球環境を守ることにつながります。

図:ヒートポンプの性能

排熱を回収し、温水を連続的に供給する三菱重工のターボ圧縮式ヒートポンプ

写真:ターボ圧縮式ヒートポンプ

ターボ圧縮式ヒートポンプ

ヒートポンプ技術を産業用途に適用した一つの例として、三菱重工の「ターボ圧縮式ヒートポンプ」を紹介します。
工場では、暖房や乾燥、殺菌や洗浄などのために大量の温水が使用されています。この温水のほとんどが、油やガス焚きボイラーで作られており、製造過程で発生した排熱は冷却塔などで冷やしてから捨てられています。この排熱を上手に利用することができれば、省エネやCO2排出量削減に貢献することができると考え、三菱重工は従来からあるヒートポンプの原理を工場の温水供給システムに応用しました。製品化されたターボ圧縮式ヒートポンプは、排気や温排水として放出される10~50℃の排熱を回収し、これを最高90℃に加熱して水を温め、再び工場で利用する温水として連続的に供給することができます。

また、モータ、ギア、圧縮機を小型化することでユニットのコンパクト化を図り、さらに操作性•制御性を向上することで、工場やプラント設備への導入を容易にしたのも、製品化の大きなポイントです。
このヒートポンプを導入した場合、試算では油焚きボイラーと比較し、CO2排出量を年間約74%、ランニングコストを年間約50%削減できるという試算もあります。

ヒートポンプの今後

ヨーロッパでは、欧州連合(EU:Europe Union)がヒートポンプによって汲み上げられる大気熱や地熱を、再生可能エネルギーとして正式に定義。日本でも、経済財政諮問会議の「未来開拓戦略(Jリカバリー•プラン)」(2009年4月)において、再生可能エネルギー導入指標の一つにヒートポンプが含まれることが明記されました。
ヒートポンプ技術は、今後さまざまな機器への応用が期待されます。そのためには、ヒートポンプユニット自体の高効率化、高耐久化、小型化、低コスト化などが必要で、さらにシステム制御技術、高密度化学蓄熱材の開発なども、製品普及の大きな鍵を握っています。

高性能ヒートポンプが開発されることで、エネルギーコストは大きく削減されることになります。日本のヒートポンプ技術は世界をリードしており、国際競争力の高い環境技術の一つでもあります。
政府の総合科学技術会議は、2050年には、現在の2倍の効率、半分のコストの超高効率ヒートポンプを開発し、低炭素社会実現のためのキーテクノロジーに育てようと計画しています。

参考文献

(1)財団法人ヒートポンプ•蓄熱センター
http://www.hptcj.or.jp/
(2)社団法人日本冷凍空調工業会「家庭用ヒートポンプ給湯機」
http://www.jraia.or.jp/product/heatpump/index.html
(3)内閣府•経済産業省「未来開拓戦略」平成21年4月17日
http://www.meti.go.jp/policy/sougou/juuten/simon2009/simon2009_10-3.pdf
(4)総合科学技術会議「最近の科学技術の動向」平成20年1月30日
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu73/siryo3.pdf

(注)2010年3月末時点での掲載内容を参考にしております。そのため、記載されているURLまたはその内容が変更されている可能性があります。