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がんの最新鋭治療装置の本格製造・販売事業を開始
厚生労働省の製造販売承認を受けて

発行 第 4663号
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 三菱重工業は、放射線治療装置の本格的な製造と販売事業を開始する。がん患部の位置を正確に把握し、ピンポイントで放射線を照射できる最新鋭の医療装置で、健全な身体組織への放射線障害を回避できるなど、これまでの装置と比べて高精度ながん治療が簡便に行えるのが特徴。米国食品医薬品局(FDA)の認可などに続き、薬事法に基づく厚生労働省の製造販売承認を16日取得したことから、国内外で積極的な営業に乗り出す。

放射線治療装置 「MHI-TM2000」
 放射線治療装置は、治療放射線(エックス線)を体外からがん患部に照射し、治療を行う装置。この放射線治療は、患部を切除する外科手術に比べ、人体の機能や形態を保持できることから、生活の質を維持できる、痛みを伴わない、体力に劣る高齢者にも適用可能などのメリットがある。
 しかしその一方で、これまでの装置では、がん細胞の周辺に一定のマージンを持たせて照射する方法がとられており、正常組織を含めた相当の範囲に照射していた。また、患部へ正確に照射を行うための位置合わせに多大な時間が必要で、患者、医療従事者ともに負担となっていた。

 最近では、治療効果を高めるための治療法として、多方向から患部を正確に照射する「定位放射線治療」や、エックス線の照射線量を照射部位内で細かくコントロールする「強度変調放射線治療」が普及しつつあるが、これらの高精度照射を実現するには、医療品質の管理に多くの労力と時間が必要であり、これらの治療を簡便に実現できる装置の開発が望まれていた。

 当社が京都大学および先端医療センターとともに開発した今回の高精度画像誘導放射線治療装置(線形加速器システム MHI-TM2000)は、これらの問題点を克服した最先端の治療マシン。
 具体的には、装置の構造を、剛性に優れるリング構造にすることにより、高い機械精度を持たせるとともに、エックス線照射口に世界で初めて首振り機構を採用し、照射方向を微調整できる画期的な構造を実現した。また、装置内に治療用とは別に、体内を撮像できるX線イメージングシステムを2対搭載することにより、患者の体内を立体的に把握し、素早く正確に患部に照射照準が合わせられるようにして、簡易かつ短時間でのピンポイント放射線照射を可能とした。

 この放射線治療装置は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の基盤技術研究促進事業、産業技術実用化助成事業の支援を受け、取り組んできたもの。同装置には、重機械メーカーとして培った当社の総合力が縦横に用いられている。なかでも、治療用高品質エックス線を発生させる部分に、高エネルギー加速器研究機構とともに開発した新型の小型加速管を世界で初めて医療用に採用し、コンパクトに装置内に収めたことで、これまでの装置にはない自由な機械動作を可能としており、新しい治療法の創造に寄与できるものと期待されている。

 当社はすでに、この装置の販売・サービスに乗り出すため、2005年10月に「MHIメディカルシステムズ株式会社(MHI Medical Systems, Inc.)」を、コニカミノルタエムジー(株)、三菱商事(株)、西華産業(株)と合弁で設立しており、今後、積極的な営業活動を展開する。海外販売については、ドイツのブレインラボ(BrainLAB)社と協業していく計画で、当面、OEM(相手先商標製品)販売を行っていく。
 当社はまた、装置の生産に関しても、放射線治療装置を製造する専用工場を2006年10月に広島製作所(広島県広島市西区)に設置しており、今後、医療機器の開発・製造・販売事業を推進、将来的には年間100億円規模の事業へ育成していく。

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