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トロイダル磁場コイル2基の製作に関する契約を締結
国際熱核融合実験炉(ITER)プロジェクト

発行 第 5432号
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 三菱重工業は、ITER国際核融合エネルギー機構(ITER機構)がフランス南部のカダラッシュ(サン・ポール・レ・デュランス市)に建設中の熱核融合実験炉(ITER※1)の主要機器であるトロイダル磁場コイル(TFコイル)2基の製作を受注しました。ITER計画の日本の国内機関(DA:Domestic Agency)である独立行政法人 日本原子力研究開発機構(JAEA)から受注し、契約を締結したもので、当社がITER のTFコイルの製作を受注するのは、昨年度の1基目に続き、今回で3基目です。

【トロイダル磁場コイル】
 ITERは、資源が無尽蔵で、安全かつ環境への負荷も少ない核融合エネルギーの実現性を実証するための核融合実験炉です。日本、欧州連合(EU)、米国、ロシア、韓国、中国、インドの7極が参加している大規模な国際プロジェクトで、ITER の2020年の運転開始を目指しています。ITER機構はこのプロジェクトを推進するための国際機関であり、日本ではJAEAがDAとして日本が分担する機器の調達を取りまとめています。

 TFコイルの製作に当たっては、当社が超伝導導体を挟み込むためのプレートおよびコイル本体を入れる容器を手掛け、コイルの巻線部の製作は三菱電機株式会社が担当します。
 なお、当社はこのたび、昨年度に受注した1基目のTFコイルの実機製作にも着手しました。

 核融合炉は、燃料となる重水素や三重水素などの軽い原子核がプラズマ状態下で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核になる際に発生する膨大な核融合エネルギーを発電に利用する装置です。その主要機器であるTFコイルは、炉内のプラズマを閉じ込めるための磁場を発生させる超伝導コイルで、全19基(予備1基含む)で構成されており、このうち日本からの調達分として9基が割り当てられています。

 JAEAは1960年代から核融合炉開発を推進、三菱重工も早くからこれに参画して、わが国の核融合研究開発の中核装置であるJT-60※2をはじめ、数々の関連装置の開発・製作を担ってきました。

 三菱重工は今後も、これらの開発・製作で培った先進の技術を駆使し、ITER国際プロジェクトの実現に向けて、全力で取り組んでいきます。

※1 ラテン語で「道」の意味です。
※2 Jaeri Tokamak 60 の略称。また、Jaeriは(旧)日本原子力研究所の英語の呼称です。Tokamakは ITERにも採用されているプラズマを閉じ込める磁気閉じ込め方式の一つです。60はJT-60のプラズマ部分の体積を表しています。

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