航空機等のチタン部品製造工程における一部規定違反に関する件

三菱重工業株式会社
弊社名古屋航空宇宙システム製作所大江工場で製造中の各種航空機等のチタン部品の製造過程の中で一部の作業が正しく行われていなかったことが判明しました。

つきましては以下のとおり現在判明している状況等につきご報告申し上げます。
このような事態を発生させ、お客様及び関係者の皆様にご心配をお掛けしましたことをお詫び申し上げますとともに、さらに詳細調査の上、必要な再発防止策を講じ、信頼回復に向け全力で取り組んでまいります。

状況

  • 6月15日夕刻に「チタン部品製造工程において不正な作業が行われているのでその内容を告発する文書をお客様に発送した」との連絡文書を郵便にて受領した。
  • 同日お客様にも告発文書が届いていたことを確認した。
  • 告発文書を受けて社内調査を行ったところ、2006年4月から2010年3月頃(確認中)にかけて加工工程は正しく行われたものの浸透探傷検査工程(注1)の前処理作業の一部が正しく行われていなかったことが判明した。
  • 該当期間において製造したチタン部品の中で検査前処理作業が正しく行われなかった可能性のある部品は約1600種類。航空機総部品点数に占める割合は約0.01パーセント~0.1パーセント。
  • 技術評価を行った結果、下記の理由により飛行安全に影響を与えるものではないと判断した。
  • 素材段階で超音波探傷検査は正規に実施しているので、素材の欠陥は発見される。
  • 加工段階で発生した欠陥については、社内試験結果から、短時間(10秒程度)のエッチング(注2)でも、浸透探傷検査でほぼ100パーセント検出されることがわかっている。
  • フェールセーフ(欠陥許容)設計を実施しているので、万が一、部品に前工程で検出されなかった欠陥があったとしても飛行安全に影響はない。

ただし、念のため今後更に再現試験を行い実証する。

  • お客様に対しても本件について報告しており、飛行安全に影響を与えない旨説明した。
  • 本作業は、現在は正しく行われているが、過去において不適切な作業が行われ、こうした作業実態について社として把握できなかったことについては問題があったと認識しており、現在詳細調査および対策を立案中。

(注1)浸透探傷検査は、非破壊検査の一種で、部品表面欠陥の検出を目的とする。
(注2)エッチング (etching) とは、化学薬品を用いた表面加工の技法の一つ。浸透探傷検査を行う部品については機械加工や仕上げ工程で発生する切削粉などを除去するために行う。

お問い合わせ窓口:名古屋航空宇宙システム製作所 総務部総務課 電話:052-611-2121