原子力の安全・安心の達成に向けた社内改革への取り組み

2012年4月10日 改訂

《原子力社内改革活動の進捗状況について》

関西電力美浜原子力発電所3号機二次系配管破損事故の教訓を活かし当社の全社的な改善の取り組みとして社内改革活動を強力に推進するために2004年12月に社長を委員長とした「原子力社内改革委員会」を設置しました。「原子力社内改革委員会」は社内改革活動の基本方針として、

  • 原子力総合メーカであることを自覚し、事故の未然防止に努めるとともに原子力安全・安心の達成に向けた社会的責任を果たすべく、全社一丸となって社内改革を進める。
  • プラントメーカとして、電力会社との健全な関係を維持しつつ、総合技術力を発揮して電力会社を支援する。
  • 企業としての社会的責任を果たすために社会倫理に合致した仕事をするとともに、その取組状況等を社会に情報発信し、社会からの安心を得る。

の3つを定め、それぞれ具体的にアクションプランを策定して社内改革活動に取り組んでまいりました。2008年3月12日に第17回委員会を開催し、これまでの社内改革活動の成果と、今後の取り組みをとりまとめましたのでご報告いたします。

1.原子力社内改革活動状況と成果
  • 原子力社内改革活動によって、原子力事業本部長の掲げた活動方針を原子力部門全体の活動として展開できるように、原子力事業本部と各事業所が一体となった品質マネジメントシステム(QMS)を再構築し、活動を実践中です。
  • 配管破損事故が発生したタービン系(二次系)の担当事業所である高砂製作所においては、不適合の教訓を踏まえて設計、製作、調達の各プロセスを徹底的に点検し、類似の不適合が発生することのないように改善を図りました。また、組織内に存在する問題点を自ら抽出し、是正していくことができる組織を目指して従来の品質保証システムを一新し、全所一丸となって改革を推進中です。現在は、組織内の一人ひとりまでQMSの浸透(QMSの深化)を図りながら、QMSを更に改善していく段階になっています。
    また、原子炉系(一次系)設備を担当する神戸造船所においては、二次系の反省を教訓にQMSを更に実効の上がるものとするべく、不適合の再発防止、未然防止活動を強化し展開中です。
  • 原子力発電プラントの高経年化に対応して、「三菱保全検討委員会」を設置し電力会社に対し的確な保全提案ができる体制を再整備いたしました。また、その体制下で三菱グループとして情報の共有化を行い、プラント保全活動を整理し検討した上で、電力に対する保全提案活動を活性化し、実施中です。
  • コンプライアンスの遵守は原子力が安全・安心なものとして社会に受け入れられる基本的な事項であることを深く認識し、原子力に従事する一人ひとりまでコンプライアンス遵守の意識をより一層高めるように、小集団活動等により身近な事例を取り上げるなどさまざまな工夫をしながらコンプライアンス教育に継続的に取り組んでいます。
2.今後の取り組み

当社はQMSを継続的に改善することの重要性、及び品質マネジメント活動の実践においては組織内の一人ひとりまで安全意識を浸透させることが、原子力事業の安全を達成する上で不可欠のものであることを常に認識し、不適合の未然防止に向けて引き続き取り組んでいきます。不適合の根本原因分析活動など新しいテーマにも積極的に取り組むとともに、電力会社や第三者検査機関などから頂戴したご意見を真摯に受け止め、引き続き「原子力社内改革委員会」を中心に着実に社内改革活動に取り組んでいく所存です。
また、PWRプラントへの信頼性向上、安全・安定運転の確保に向けて適切な高経年化対策等を電力会社にご提案し具体化する活動にも、従来以上に注力していく所存です。

以 上

原子力社内改革委員会

美浜3号機二次系配管破損事故の教訓を活かす当社の全社的な改善の取り組みとして社内改革活動を強力に推進するため、平成16年12月に、社長を委員長とした「原子力社内改革委員会」を設置しました。

原子力社内改革委員会の体制

社長を委員長とし、社長室長(副社長執行役員)と原子力事業本部長(常務執行役員)がそれぞれ副委員長として委員長の補佐にあたっています。
コーポレート部門からは、経営監査部長、社長室企画部長、同 広報・IR部長、同 CSR推進部長、総務部長、法務部長、人事部長、技術統括本部ものづくり革新推進部長、同 グローバルSCM(サプライチェーンマネジメント)推進部長が委員として(総務、法務、人事、グローバルSCM推進の各部長は非常勤委員)、また、原子力部門から原子力事業本部副事業本部長(4名。うち2名は神戸造船所長、原子力プラント技術統括部長をそれぞれ兼務)、高砂制作所長(原動機事業本部副事業本部長)、原子力事業本部 原子力安全・品質監査室長、同 企画管理部長、同 原子力部長、同 原子力輸出部長、同 原子力技術部長が委員として参画しています。

開催実績

三菱保全検討委員会

美浜3号機配管破損事故に係る当社の再発防止対策の一環として「三菱保全検討委員会」を設置しました。
本委員会の目的は原子炉系(一次系)、タービン系(二次系)及び電気系設備全般に関する国内外原子力発電プラントの保全情報の横通しと、必要な予防保全対策の水平展開に係る電力会社への提案を更に充実させ、PWR(加圧水型軽水炉)プラントの信頼性向上、安全・安定運転を確保する高経年化対策への取り組みを具体化することにあり、最新知見に基づく保全計画の審査、水平展開の実施状況の審査等が含まれます。
なお、本委員会の活動状況は上述の「原子力社内改革委員会」に報告されております。

三菱保全検討委員会の体制

原子力事業本部長を委員長にプラント設計全体を取り纏める原子力技術センター、原子炉系(一次系)設備を所掌する神戸造船所、タービン系(二次系)設備を所掌する高砂製作所、電気系設備を所掌する三菱電機及び当社原子力品質・安全監査室の委員から構成され、今後原則年2回開催して永続的に活動を進めていくことで計画しております。

開催実績

企業の社会的責任(CSR)に対する取り組み

美浜3号機配管破損事故が「原子力」という社会的影響の大きい分野で発生した事故であることから、当社として社会に対して説明責任を果たすために、当社の従来のCSR活動を更に推進するとともに、危機管理体制の強化、内部監査体制の強化等、新たな活動を展開しております。更に、原子力学会倫理委員会への積極的な参画等によって、原子力産業界の一員としての責任を果たすべく取り組んでおります。