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世界を変えるきみはどこにいる

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プロジェクトストーリー

ロケットから宇宙輸送サービス事業へ、技術だけではない三菱重工の強みがここにある。

三菱重工のロケットへの本格的な取り組みは、1960年代の末から始まった。
実用商用衛星の打上げを目指して設立された宇宙開発事業団(NASDA)のN-Iロケット開発プロジェクトに参画し、製造を請け負う。
その後、N-II、H-I、H-IIシリーズと実績を積み、現在では開発・製造・打上げの全てを行う総合宇宙開発企業にまで成長している。
それでは実際の業務はどのように進められているのか、開発とマネジメント、両方の担当者に話を聞こう。

 日本の主力ロケットH-IIシリーズは、H-II、H-IIA、H-IIBと進化してきた。最大の能力をもつH-IIBは2009年9月、初の打上げに成功したが、そのとき、推進系の開発を中心になって進めたメンバーの一人が佐藤晃浩だ。
「H-IIBの最大の特長は、H-IIAのメインエンジンであるLE-7Aを2基束ねたクラスターロケットだということです。旧ソ連やアメリカ、ヨーロッパでは実績のある技術でしたが日本では初めてであり、挑戦しがいのあるテーマだったのです」
 クラスターロケットはエンジンをただ並べればできるというものではない。
「要するに1+1=2にすればいいのですが、ロケットエンジンは究極のパワープラントですから、それを2基同時に完全に作動させるのは簡単ではありません」
 例えば推進薬である液体酸素と液体水素は合計約178トン積むが、これを440秒で使い切るには1秒につき約500kgという量を安定してエンジンに供給し続けなければならない。しかも2つのエンジンに均等に送り込めなければ1+1は2にならないのである。
「供給配管を1系統にし、エンジンの直前で分岐させる方式のほうが軽量化できますが、私たちはあえて独立した2系統で供給する方法を採用しました。それなら多くのパーツをH-IIAと共用できるので開発リスクを減らせると考えたからです」
 H-IIBは国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を行うという重大なミッションを行うために開発が決まったロケットだ。したがって、決められた期間内に信頼性の高い機体を完成させなければISSの運用にも支障が生じる。
「日本はISSへの補給業務を遂行することが義務づけられていましたから、その約束を果たすために技術力で応えていった。それがH-IIBの開発プロジェクトだったのだと思います」

調達も衛星打上げの受注も国際市場を相手にしている

 佐藤と同じ宇宙事業部のメンバーで営業担当の佐々木亜由子は三菱重工に就職するまで技術とは全く無縁の生活を送ってきた。
「紛争の解決と平和構築といった国際関係論を勉強しており、そのときは、まさか自分がロケットに携わるなんて思いもしなかったですね」
 しかし、企業の国際貢献というテーマを考えたとき、社会的にも影響の大きい三菱重工に目が向いたのだという。
「業界として確かに男性が多いですが、女性社員も増えており、女性であるという理由で特段不自由を感じたことはありません」
 入社して3年半は航空機用のアルミ板材などの調達を担当していた。アメリカ、ロシア、ヨーロッパなど国際市場を相手にした購買業務は楽しく、徐々に航空宇宙分野にも興味をもってきた。そして4年前、ローテーションで異動してきたのが今の職場である。
「業務部とは簡単にいえば事業部の業務全般を管理するセクションです。顧客窓口として見積や契約、製品納入までに係る顧客との調整、社内管理業務としてコスト管理、売上計画策定などを行い、開発や生産が滞りなく行われるようにしていきます」
 一見すると営業担当は後方支援のように見えるかもしれないが、佐々木自身はそうは考えていない。むしろ「プロジェクトの旗振り役」として前面に出ていくような意欲が大切だという。
「三菱重工はH-IIAとH-IIBロケットの製造だけでなく、JAXA(宇宙航空研究開発機構)からの移管を受けて打上げ輸送サービスまで行うようになりました。つまり衛星市場において他国との競争に勝っていかなければならないのですが、そのためにはさらなるコストダウンが欠かせません。このようなミッションを確実に遂行するには、全体を見回し、プロジェクトを正しい方向に導いていく必要があります。そしてそれができるのは営業担当だと思っています」

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宇宙開発はロマンでありビジネスである

 技術に責任をもつエンジニアと、事業全般を管理する事務系社員。それはどちらが欠けても成り立たない補完関係にある。佐藤も両者のいい関係を強調する。
「H-IIBの開発プロジェクトでは、秋田県田代町の実験施設にエンジンを何基も持ち込み、燃焼試験を繰り返しました。今回は珍しく順調に進んだので無事にテストを終えることができましたが、もし、途中で失敗があったら試験を追加しなければならず、そこで新たな予算が発生します。そういうときにも営業担当がすばやく対応してくれるので、私たちは安心して開発の仕事に専念できるのです」
 実際、開発や生産の過程において予想外のトラブルは多く、そのたびに予算の見直しが生じる。
「大事なのは、それでもプロジェクトは計画通りに進めなければいけないということなのです。しかしエンジニアは技術面でしか解決方法を示せません。だからこそ、事務系社員の活躍が求められるのです」
 そう言って佐藤は頼もしそうに佐々木をみつめた。彼女は答える。
「プロジェクトを止めないことが私たちに求められる最大のミッションです。だから、もし追加作業が発生したときには、それを社内だけで処理するのか、あるいは顧客に負担をお願いするのか、案件ごとに検討し、正しい対処をしなければなりません」
 そのためには契約段階で契約条件を詳細まで詰めておくほか、トラブルに備えて予備の予算や期間を確保しておくといった対応も必要になるという。
「宇宙開発はロマンであると同時にビジネスでもあるのです。したがって、誰かが事業者の目を備えていなければなりません。そういう意味では、私は今の仕事に誇りをもっているし、営業担当の役割の重要性もよく分かっているつもりです」

次期国産ロケットの開発プロジェクトが始まった

 現在、佐藤はH-IIA/H-IIBに代わる日本の新型基幹ロケットの開発を進めている。
「三菱重工はプライムコンストラクターとしてプロジェクトの中核を担っています。今は概念設計として、どんなロケットをつくったらいいのか、コンセプトを固めている段階です」
 新型基幹ロケットで課題になるのは「自律性の確保」と「国際競争力のあるロケット打上げサービスの実現」の2点だ。
「自律性の確保とは、日本が、今後、打上げていく衛星に確実に対応できる性能をもつことです。同時に国際市場の要望にも応え、宇宙輸送システムの産業基盤を維持・発展させられるように競争力も重視しなければなりません」
 今後、システム定義審査(SDR)によってある程度のスペックが決まると基本設計フェーズへと移り、2020年度の打上げを目指す。競争力のあるロケットにしていくという部分では、佐々木も貢献できることはたくさんあると考えている。
「新しいロケットの開発なんて、そうそう経験できるものではありませんから、わくわくしますね。ただし、あまり興奮せず、あくまで冷静にプロジェクトをみつめていくつもりですが」
 そんな佐々木も、打上げの顧客対応で種子島宇宙センターに行ったときには、ロケットが飛び立っていく姿に心が震えたという。
「やっぱりうれしいですよね。我が子の旅立ちですから」
 それを横で聞きながら、佐藤がぽそっとつぶやいた。
「実は私も一度だけ、H-IIBの初打上げのときに泣いてしまいました。予想外の涙に驚き、慌ててトイレに隠れたので、みんなにはバレませんでしたが(笑)」
 佐藤の涙には理由がある。
「ロケットの開発って蝉に似ているんですよ。何年も地道な設計作業や試験を繰り返し、ようやく完成すると、一瞬で消えてしまう。打上げのシーンは華々しくても、実はその裏に膨大な努力が詰まっています。だからこそ、好きでなければ続けられない仕事ですが、それでも成功したときには本当に大きな満足感がある。それを味わってみたい人は、ぜひ、私たちの仲間になってもらいたいですね」

パーソナルデータ

メンバープロフィール

佐々木亜由子 佐藤晃浩

防衛・宇宙ドメイン
宇宙事業部 営業部
業務一課
2006年入社
国際文化学部
コミュニケーション学科卒業

防衛・宇宙ドメイン
宇宙事業部 宇宙システム技術部
装備設計課
主席
1997年入社
工学研究科
マイクロシステム工学専攻(航空)修了

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