三菱重工技報
    Vol. 58 No. 4 (2021)   航空宇宙特集
    技術論文

    数値シミュレーションを活用した航空機組立作業の効率化技術

    Efficiency Technology of Aircraft Assembly Work Utilizing Numerical Simulation

    江崎浩司
    Koji Esaki
    松野夏輝
    Natsuki Matsuno
    河野亮
    Akira Kono
    江崎浩司
    松野夏輝
    河野亮

    航空機などに代表される薄板パネルと骨組みからなる構造では,各部品は寸法公差を有して製作されており,組立て時に部品間に隙間が生じることは不可避である。実作業では仮組みして隙間量を実測した結果をもとに,その隙間を埋めるためのシムを製作するため,適切な厚さ分布をもったシムを準備するまでに多大な時間を要している。そこで,当社は,部品表面の3次元計測結果を用いて実際の表面形状を有するFEM モデルを作成し,仮組み時の部材間に発生する隙間量を数値シミュレーションによって求める手法を構築した。検証の結果,数値シミュレーションで得られた隙間量と仮組みした際に実測した隙間量はよく一致し,実測に替わって,数値シミュレーションによる予測結果を用いてシムを製作することでシムの調達時間が低減できる目途を得た。