三菱重工技報
    Vol. 41 No. 1 (2004)   豊かな社会に貢献する新製品·新技術特集
    特集 技術論文

    非破壊検査の信頼性向上を可能にしたフェーズドアレイUT技術

    High-reliable Non-destructive Inspection Using Phased-array Ultrasonic Testing

    川浪精一
    Seiichi Kawanami
    黒川政秋
    Masaaki Kurokawa
    増本光一郎
    Koichiro Masumoto
    川浪精一
    黒川政秋
    増本光一郎

    原子力発電所ではその安全性や信頼性を確保するために定期的に検査が行われており,配管や圧力容器の検査には主として超音波を使った非破壊検査(以下 UT : Ultrasonic Testing)が適用されている.UTは材料の内部検査が可能で多くの箇所に適用されているが,ノズル部などの複雑な形状部や溶接部などの超音波の透過性が悪い材料では検査の課題も残されている.また,近年原子力発電の健全性に関して社会的に大きな影響を与える事象が相ついで発生している.そのため,UTによる欠陥の定量化ニーズは高まりを見せており,精度の高いUT検査手法が望まれている.
    フェーズドアレイUTは超音波を任意の角度へ発生させたり,任意の位置へ集束させたりすることが可能で,今まで検査が困難な複雑形状部や超音波難透過材の検査に有効である.本報ではフェーズドアレイUTの高度化として欠陥の検出性を向上させたマトリックスアレイや欠陥の定量性を向上させた点集束型リニアアレイについて紹介する.