三菱重工技報
    Vol. 41 No. 1 (2004)   豊かな社会に貢献する新製品·新技術特集
    特集 技術論文

    三菱重工の新1000kW風車,MWT-1000A

    Mitsubishi New Wind Turbine, MWT-1000A

    上田悦紀
    Yosinori Ueda
    井上厚助
    Kosuke Inoue
    柴田昌明
    Masaaki Shibata
    林 義之
    Yoshiyuki Hayashi
    上田悦紀
    井上厚助
    柴田昌明
    林 義之

    近年,欧米·国内ともに風力発電市場は急拡大している.特に最近5年間は,全世界で年平均35%増の成長を続けている.こうした世界的な風力発電の拡大により,これまで風力発電に最も適しているとされてきた年平均風速10 m/s程度の強風速地域は開発尽くされつつあり,主力市場は比較的風 の 弱 い 地 域 ( IEC : International ElectrotechnicalCommissionのClass ,年平均風速8.5m/s)に移行している.
    図1にIECに規定されている,1年間の風速出現頻度分布を示す(年平均風速8.5 m/s,レーリー分布).一般的に風車が定格出力で運転し始めるのは13 m/s付近である.しかし図において13 m/s以上の風速出現頻度は約15%にすぎず,大半は定格出力以下で運転する部分負荷帯になる.このため,風力発電事業者は,この部分負荷帯で,より多く発電できる高性能風車を望んでいる.
    これらの市場動向を踏まえ,当社は部分負荷帯で高効率発電を実現する低風速地域向け1 000 kW風車,MWT-1000Aを開発した.ここでは,MWT-1000Aの特長と運転実績を紹介する.